「大幅赤字避けられない」/バイオエタ実証事業
国仲氏指摘も委員会可決
市議会総務財政委員会(嵩原弘委員長)は24日、先送りしていた2017年度一般会計予算案と市バイオエタノール製造施設指定管理者指定の採決を行い、賛成多数で原案通り可決した。國仲昌二委員は「バイオエタノール事業は、膨大な事業費に比べて売上はわずか。大幅な赤字は避けられない」と指摘。市の今後3年間の実証事業に「市民の理解を得られない」として、一般会計当初予算案に盛り込まれている同事業の関連予算を予備費に回す修正案を提案したが、委員の賛同は得られず否決された。
バイオエタノール事業は、ガソリンに3%のバイオエタノールを混合させるE3事業を環境省などが展開してきたが、「商業化のめどが立たない」として廃止。市も、業者の撤退により、基材ガソリンの調達ができなくなったためE3燃料の販売を終了している。
市では、新たなバイオエタノールの活用方法を探ろうと、学校給食調理場でボイラー燃料として利用することなどの実証事業を継続する方針。
國仲氏は委員会前に行われた一般質問で、市の実証事業に疑問を呈し「費用対効果の面から納得しかねる事業」と強調。2012年度から、一括交付金を活用している同事業の収支を独自調査した結果を示した。
国仲氏によると、12年度~15年度までの事業費は約2億1600万円だが、売上(E3燃料や液肥)は約172万円。國仲氏は「今後の収益が見込まれるという液肥だけを見ると約40万円程度にしかならず、赤字は2億1400万円に上る」としている。
委員からは「3年間の実証事業で新しい展開があるかもしれない」「実証事業で、採算が取れる事業かどうかを見極める必要がある」などと新たな可能性に期待を示した。
國仲氏は「私の修正案がすんなり通るとは思わなかった。ただ、バイオエタノール事業の採算性について疑問を呈し、市民に訴えたかった」と理由を述べた。