野原部落の陳情採択/市議会本会議
ヘリポートの移設など国に要請へ
宮古島市議会(棚原芳樹議長)は27日の3月定例会最終本会議で、空自宮古島分屯基地から派生する被害等の改善を求めた野原部落会の陳情書を全会一致で採択した。住宅に隣接する基地ヘリポートの移設や、工事騒音被害防止策を講じるよう沖縄防衛局に要請を求める内容。部落会の訴えに全市議が理解を示した。
陳情の趣旨はヘリポートの移設、工事騒音被害の防止ほか御願所への出入りに関する改善要望の3点。
ヘリポート関連では「宮古島分屯基地に離発着する大型輸送ヘリの騒音・風圧振動被害の防止対策を市や沖縄防衛局へ要請するも改善されない」と指摘。「被害軽減対策として、住宅に隣接する基地ヘリポートの移設に向けて防衛局に要請し対処すること」とした。
騒音被害関係では、基地内に新たな施設を建設する際の住民説明会や、日曜や休日は工事を止めるという約束が反故にされていると訴え。被害軽減を防衛局に要請するよう求めた。
御願所に関しては、基地内にある御願所に容易に出入りができるよう手続きの改善を求めている。
理由説明では、千代田カントリークラブへの陸上自衛隊配備計画に関する防衛局の対応に触れ、「これまでの協力関係が裏切られたとの思い」と付記した。
同陳情は14日に開かれた総務財政委員会で採択されているが、このときは「賛成多数」だった。今回の本会議では、全員が陳情に理解を示した形となる。
これにより、市議会として防衛局へ要請し、対処を講じていくことになる。
野原部落会の島尻信徳会長は「心配していたが採択されて良かった」と胸をなで下ろし、陳情の採択に感謝した。一方で、保守系議員が16日に実施した分屯基地現地調査において、住民の基地内同行が断られたことには不満を漏らした。
同部落会支部役員を務める仲里成繁さんも、議員現地調査における基地内入場規制を疑問視したが、「不安はあったが、採択されて良かった」と振り返った。
この日の会議では同案件を含めて11件の陳情書を審議した。「沖縄の民意を尊重し、地方自治の堅持を日本政府に求める陳情」「全住民の避難を想定した場合に把握しておくべき情報の早期収集および公開を求める陳情」は不採択。福嶺地区における教育環境の改善を求める陳情や、新たな水道水源調査のための地下水審議会開催を求める陳情は継続審査となった。