イノシシの生息を確認/DNA鑑定で判明
石垣から持ち込みか/26日から猟銃駆除
宮古島には本来生息しないイノシシの存在がDNA鑑定で裏付けられた。昨年6月に駆除した検体を研究機関で調べたところ「イノシシ」と断定された。石垣島に生息するイノシシのDNAであることも判明。同島から持ち込まれたものとみられる。イノシシは農作物を食害するため、市は繁殖の可能性に危機感を募らせている。26~27日には猟銃駆除を実施する。
市は昨年6月と11月に猟銃駆除を行った。県猟友会の石垣、竹富両地区のメンバーが訪れ、狩猟犬と散弾銃を使って計7頭を駆除した。検体は猟友会を通じて研究機関で分析。1頭がイノシシと断定された。残りの6頭は分析中だ。
これまで、イノシシなのか、イノブタ(イノシシと豚の交配種)なのか特定できていなかったが、今回のDNA鑑定によってイノシシが実際に生息していたことが分かった。今後は繁殖の有無が焦点となる。
イノシシは、サトウキビやイモなどの農作物を食い荒らしているものとみられる。市によると、サトウキビの新植夏植え圃場でも被害が出ており、土を掘り返して苗ごと食べてしまうという。地中のイモも、同様に食べられている。
専門家は「イノシシは土を掘り返して食べるので畑を荒らす。宮古島には1年中食べ物(農作物)が豊富にあるし、特に外敵もいないため増えていく環境が整っている」と話した。
これらの農作物被害に加えて、市は人への危害を最も懸念する。「生息範囲が広がれば、農作業中に襲われるという可能性を否定できない」と警鐘を鳴らす。
イノシシは母性本能が強いとされ、「特に子を連れているときは危険。神経質なので突っ込んでくる」と指摘する声もある。
生息する個体がイノシシか、イノブタなのかは分析中だが、今は北海岸を中心に数十頭が生息しているとみられ、手を打たなければ生息範囲は広がる。
駆除を担当する市農政課は、ワナを使った捕獲と猟銃による駆除で一掃する方針だ。2017年度もそのための予算を組んだ。
松原直樹課長は「農作物被害は深刻だ。猟友会と話し合って効果的な駆除を実施していく」と話す。26日からの駆除は前回11月と同じ城辺の長北、福北の北海岸で行う。松原課長は「駆除している間は駆除区域に近付かないでほしい」と注意を呼び掛けている。近々周辺住民には告知する。