上布、もっと知りたい/後継者育成事業
引き継ぐ3人は決意新た
宮古上布(製織)後継者育成事業の2016年度閉講式と17年度の開講式が12日午前、伝統工芸品センターで開かれた。16年度の研修を終えた豊見山清香(さやか)さん(36)は感無量の様子。この1年で上布4反を織ったといい、「繊細で難しく、奥深いこの宮古上布を、もっともっと知りたい」と笑顔だった。17年度の研修生は3人。「成長したい」--。上布を受け継ぐ決意を語った。
この日は閉講式と開講式を同時に行った。修了の豊見山さんと、17年度研修生の下地千代さん(50)、宮国利恵さん(39)、棈松順子さん(57)が出席。宮古上布への思いを共有した。
閉講式であいさつした宮古織物事業協同組合の長濱政治理事長は、1年間学んだ豊見山さんとこれから学ぶ3人に感謝を込めた。
宮古上布の歴史を語りながら、「上布の継承に皆さんが関わってくれることがうれしい」と喜び、「伝統工芸品をつくるんだという誇りを持ってほしい。素晴らしい上布の技術をみんなで守りたい」と話した。
長濱理事長から修了証書を授与された豊見山さんの表情は晴れ晴れ。「宮古島で生まれ育った者として上布を知り、体験できたことを誇りに思う。今はもっと知りたいという意欲があふれている」と上布への思いを表現した。また、「この1年間学ぶことができたのも講師の先生や先輩方のおかげです。これからも上布を続けたい」と話した。
17年度開講式では、研修生を代表して棈松さんが決意を表明した。上布を織るために広島県から訪れたという棈松さんは、「一生懸命頑張るので、教えてくれる先生や先輩方、広く温かい気持ちで私たちの成長を見守ってほしい」と熱意あふれる表情で話した。
この事業は、宮古上布を織る技術者を確保することが狙い。宮古上布従事者の高齢化に伴い、生産反数が激減する中、若手の従事者を育成しようと事業化。伝統の継承を図っている。