土壌流出の未然防止を/宮古地域農水推進会議
農業生産が向上/農家に意識啓発講演会
宮古地域農林水産業推進会議(会長・植田修宮古農林水産振興センター所長)は7日、宮古合同庁舎で2017年度「土壌保全の日」啓発講演会を開いた。サトウキビや野菜類などの生産農家ら約50人が参加。土壌の流出の未然防止による効果で農業生産が向上する意識を高めた。
県は、毎年5月の第3月曜日から30日間を「土壌保全月間」と設定。6月の第1水曜日を「土壌保全の日」と定めている。啓発講演会が開催されたこの日は「土壌保全の日」。
冒頭、植田所長は「本講演会を契機に土壌保全の機運が高まり、さらなる地力の増進が図られることを期待する」と述べた。
講師に招かれた県農業研究センター土壌環境班の我那覇啓研究員が「営農段階で可能な耕土流出防止対策技術」、同センター農林水産整備課の上原良之技師が「ほ場整備における土壌流出防止対策について」と題してそれぞれ講演した。
講演の中で、我那覇研究員は統計資料を活用し「宮古島の年間降水量は2021㍉で、そのうち蒸発散が50%、地下水が40%、地表流出が10%となっている」と語った。
その上で、営農的な土壌流亡(流出)として▽グリーンベルト等による耕土流出の抑制▽畑面被覆(資材、植生)による耕土流出発生の抑制▽土壌団粒化促進-などを挙げた。
我那覇研究員は「土壌団粒(だんりゅう)化促進の団粒とは、土や腐植質などの粒子が集まって、1~5㍉前後の団子状になったものを言う。土中の微生物や昆虫などが、有機質(緑肥や堆肥など)を分解する際に、分泌する粘液や排せつ物などが接着剤のようになって、塊となるといわれている。土壌が団粒化すると、土層が深く軟らかく、排水が良くなる。また保水力が大きく、空気含量が多くなり、良い土となる」と強調した。
上原技師は「農地における土壌流出の主な原因は、ほ場の勾配が急なため、表面水の流速が速く、表土が流出しやすい。またグリーンベルトや沈砂池等が未整備のため表土がほ場外に流出しやすい。ほ場が裸地のため、表土が流出しやすい」と話した。
さらに「10度の勾配を5~3度以下にすると表土の流出が16~35%低下すると試算されている。グリーンベルト(植栽帯)を設置すると、表土流出を10~50%抑制する」と強調した。