虐待防止で連携確認/関係機関が初の合同訓練
児童虐待事案に迅速かつ的確に対応することを目的に、関係機関の担当者による「児童虐待事案合同対処訓練」が8日、東川根自治会館で行われた。県中央児童相談所宮古分室の職員、宮古島警察署員、市の担当者がロールプレイング(役割演技)訓練で親から虐待を受けている子供を効果的に一時保護する方法について学ぶとともに、さらなる連携の強化を確認した。
開会のあいさつで同署の大城辰男署長は「宮古では平成27年に痛ましい児童虐待事案が発生した。こうした合同訓練を重ね、連携を強化すれば、何かあった場合は未然に防げることができる」と述べた。
また、同分室の野原勝室長も「4月に私たちの分室が設置されて、宮古では児童虐待に対する関心が高まっている。関係機関で児童を守り支援するための体制がこの訓練で構築されることを期待している」とあいさつした。
訓練では、ある小学校1年の女子児童が顔面に打撲跡をつけて登校した設定で演技がスタートした。
この女子児童は、これまでにも何度か不審な傷やあざがあったが、担任がその理由を聞いても話そうとしないことから、親に連絡したところ母親が迎えに来て、説明もなく連れて帰った。
この女子児童の父親は就労している様子がなく酔っぱらって在宅していることが多く、攻撃的な部分もあることから、児童相談所は警察に援助要請を行い、警察官も同行して家庭への訪問が行われた。
児童相談所の職員は親と子供を別々の部屋で面談し、これまでの状況について確認した。
あくまでも「しつけ」でたたいたと主張する父親に対して、実際に暴力を受けている女子児童の説明と食い違っていることや、顔面の打撲以外にも体の複数カ所で打撲跡があることもわかり、一時保護することを決定。
訓練では、一時保護に対して憤慨した父親が暴力を振るおうとしたことから玄関で待機していた警察官を呼び、父親の行動を制止させ、無事に保護することとなった。
訓練の講評で、同分室の佐和田ゆかり主幹は「今回の訓練を通して関係機関の連携がいかに重要であることが再確認できたと思う。虐待から子供を守るためにこれからも連携を強化することが大切」と述べた。
今回の訓練は、より実践的な関係機関による合同訓練を実施することで、警察と児童相談所、市などの関係機関が相互の役割を確認することで、より効果的な家庭訪問のあり方、一時保護の方法を共有するために実施された。